ARCTURUS AKの内部レビュ―
先日外観のレビューを記載した、ARCTURUS製AKの内部レビューをしていきます。
外観でもARCTURUSをベタ褒めしましたが、内部も北米仕様にも関わらず完成度が高く、あまり手を加えなくても問題が無さそうな出来でした。
日本国内仕様で発売される頃にはより洗練された完成度になっていそうなので、今以上に期待できるものになっていそうです。
目次
メカボックス取り出しまで
電動AKの分解方法自体は多くの方が既に記事にしているので、ポイントを紹介していきます。
まずはメカボックスの取り出しから。
基本的には他のAKと変わらず、グリップを外してセレクターを外してメカボックスを引き抜く形になります。
ARCTURUSのAKグリップは底にカバーがついているので、これを外してネジにアクセスすることになります。
セレクターはネジ式になっていました。
個人的にはマルイのようなカバー式よりもネジ式のほうが好きなんですが、かなりカッチリ締め付けられていたので、ネジの頭が傷だらけに……。
あとはノズルをチャンバーに引っかけないようにしながらメカボックスを引き出すだけです。
取り出したメカボックスがこちら。
左側には逆転防止ラッチ解除レバーが付いています。
外観でも触れたとおり、このレバーを押し上げると逆転防止ラッチが解除されてピストンが前進する仕組みになっています。
内部を調整して気付いたのですが、この逆転防止ラッチ解除レバーがスパーギアと干渉する可能性があります。
0.1mm程度ではありますが、必要に応じてレバー側を削るなど対処するといいかもしれません。
右側のセレクターギアの形状が若干変わった形をしています。
他のギアと互換性はあると思うのですが、浮き上がるのを防止する為に出っ張りがついています。
ギアの軸受けは次のとおり。
- ベベルギア:8mm ボールベアリング
- スパーギア:8mm メタル軸受け
- セクターギア:8mm メタル軸受け
高回転のベベルギアのみボールベアリングと合理的かつコストダウンしているので、好感が持てる構成ですね。
モーターはカタログスペックでは19000RPMとのこと。
東京マルイのEG1000が約27000RPMなので、かなりのトルク重視仕様になります。
また、このメカボックスはQD式になっています。
スプリングガイドにマイナスドライバ―を当てて、90度回転させるとスプリング引き出すことができます。
メカボックス内部
基本的な構造は既存のVer.3メカボックスと変わりませんが、スイッチがマイクロスイッチになっていることが特徴ですね。
Ver.2メカボックスではスイッチを垂直に押す形になりますが、このVer.3メカボックスではスイッチの動作方向に対して直角に押し込む形になります。
グリスは薄っすらと塗られている状態で、海外製のエアガンで良く見る緑色のものは一切ついていませんでした。
清掃も手間取らないですし、本当にユーザーの希望を分かって組み立てている感がとても強いです。
ギアは鉄製の粉末治金ギアで、18:1のノーマル仕様です。
ベベルギアの逆転防止ラッチがかかる部分は4枚歯で、精度も問題無さそうですね。
次にシリンダー・ピストン周りを見ていきます。
シリンダーはフルシリンダーで、歪みなどはありませんでした。
シリンダーヘッドは樹脂製で当たり面にゴムが張ってあるのですが、組み込み精度が良く全く気密漏れをありません。
下手に分解するよりもこのままのほうがいいと判断したので、このまま使ってみます。
ピストンは総金属歯の強化タイプ、ピストンヘッドは給排気型のものになります。
これも目立ったバリなどはなく、そのまま使えそうです。
スプリングはかなり硬いので、変えたほうが良さそうなシロモノでした。
一方で、ベアリング付金属製スプリングガイドはカスタム品と同等と見て良さそうです。
続いてタペットとノズルに移りましょう。
ノズルは21.24mmとM4サイズでした。
ただ、このノズルは日本国内に輸入する上で初速を落とす為に色々と手を加えているとのことだったので、国内正規流通仕様では変わっている可能性が高いかと思います。
これはちょうど手元にACE 1 ARMSのAK用ロングノズルがあったので交換して使う予定です。
タペットプレートは左側のくぼみに小さなバリがあったのですが、他には外観上気になる部分はありませんでした。
SHSなどのタペットに比べると硬めではあるのですが、作りとしてはしっかりしているので、実際に使ってみてどうなるか見ていきたいと思います。
メカボックス内部の最後にマイクロスイッチの仕様を見ていきます。
スイッチには次の刻印が刻まれています。
KW7-0
16A 250VAC OR 125VAC
μ T125 5EA
外形寸法は27.8mm x 15.9mm x 9.6mmでした。
縦と横はオムロンの小型基本スイッチと同じなのですが、厚さが0.7mm薄くなっており、交換できるかは試してみないとわからないというのが正直なところ。
これは使えるものが分かり次第追記します。
また、ケーブルにはヒューズがついていませんでした。
レシーバーが鉄製の為、被膜が弱ってショートした場合には一発でやられるかと思います。
どこかしらにヒューズをつけることを検討したほうがいいかもしれません。
バレル・チャンバー周り
バレルに関しては完全にアメリカンなパワフル仕様でした……。
もし海外仕様のデチューン品を買う場合には注意しないといけないポイントですね。
今回はフロントを分解してインナーバレルを引き抜きました。
フロントの分解方法はE&Lと同じで、リアサイトブロック内のイモネジを2つ緩めてから、リアサイトブロック下端の固定ピンを打ち抜いて分解します。
リアサイトブロック・アウターバレル・ハンドガ―ドが丸ごと外れるので、フロントモジュールさえ調達できれば組み替えも簡単かもしれません。
赤で囲ったところにイモネジがあります。写真は既にチャンバーやインナーバレルを抜き出したものです。
取り出したインナーバレルがこちら。これも即行でバラしてしまったので写真が残っていないです……。
海外仕様のARCTURUSの電動ガン全般で採用されているのが黒染めをした鉄製インナーバレルです。
このAKに入っていたのは全長430mm、内径6.01mmでした……。
どうやらこれは北米の要望に合わせてタイトバレルになっているようなので、国内仕様でどうなるかはなんとも言えないところ。
鉄製なので被膜が剥がれて少しでも錆びついたら一発で弾詰まりしそうなので、要交換と言ったところでしょうか。
私はとりあえずLaylaxのBCブライトバレル275.5mmを用意したので、これで調整をする予定です。
チャンバーは金属製のものです。バレルは既にBCブライトバレルを組み込んだものになります。
注意点としては、シールリングがかなりきつくはまっているので、取り出すのに苦労する可能性があります。
その分ブレないと考えてもいいのですが、そもそもインナーバレルが鉄製なのでちょっとこのままでは使えないかと思います。
私が外した時はシリコンオイルを噴いて、その後はピンセットを使って少しずつずらすというやり方でなんとかシールリングを取り出せました。
ホップパッキンはマルイ製と比べるとかなり硬く、リップ部分が1.5倍くらいの長さになっています。
恐らく11.1VのLiPoとトルクの強いモーターを使って初速と飛距離を稼ぐ思想なのだと思います。
ここは日本と北米の法規制やそれに基づく考え方の違いもあるので、どちらが優れているかというのは別の問題ですね。
で、北米仕様のままでは日本で使うには不向きとなるので、ホップパッキンを交換したほうがいいかと思います。
まとめ
北米仕様ということもあり、日本国内で使う為には交換する必要があるパーツがいくつかありましたが、ほとんどカスタム品と同等のものが入っています。
北米仕様の場合には組み替えたほうがいいものは
- インナーバレル(最重要)
- ホップパッキン
- スプリング
- モーター
と必要最小限なので、北米仕様のままでもベースガンとしても優秀だと感じました。
また、今後は内部パーツも調整して30mヘッドショットを狙える精度にしていく計画とのことですので、今回挙げたパーツが見直されそうだと感じています。
最初は新興のメーカーなのでどの程度の完成度なのか半信半疑だったのですが、まさかここまで完成度が高いと思っていなかったので嬉しい誤算です。
自分でカスタムする場合はもちろん、今後の動向如何では箱出しの性能も期待できるようになるので注目していきたいメーカーです。
カットオフレバーが悪いのか11.1vで運用するとオーバーランしませんか?対策で悩んでます。
ちなみにバレルはラムダの08.420mm、スイッチをオムロン、ノズルはSHSのアルミロングに交換してみました。あとスプリングは国内仕様なのかそこまで強くなかったので3mmかさ上げしてます。
コメントいただきありがとうございます。
私の手元に11.1Vのバッテリーが無いので確認できないので、まずは正確な回答ができないことをご容赦いただければと思います。
原因として考えられるのは日本向けにカットしたスプリングと海外仕様のモーターの為、バランスが崩れているのではないかと思います。
ですので、スプリングを交換してみることを強くお薦めします。
それでもダメだった場合はモーターの変更も視野に入れていただくのがいいかもしれません。
ここからはなぜスプリングとモーターが原因だと推測したかの説明です。
この記事や他のarcturus関係の記事を書いてから今までに色々調べたのですが、arcturusは北米で11.1Vを使用する前提で設計されているようです。
もしカットオフレバーが原因であれば、海外でもカットオフレバーに起因するオーバーランの情報が出ているだろうと確認しましたが、特に見つけられませんでした。
そうなると日本仕様に変更した際に問題が発生したと考えるべきですが、海外仕様から変更されている部分はスプリングのみです。
手元にあるArcturusの中に入っていたと思しきスプリングの長さを測ってみたところ、約14cmでした。これは日本向けに販売されているスプリングと比較して3cmから4cm短いことになります。
このことから3cmカットされていると仮定すると、このスプリングではピストンにセクターギアが突入してきた時にブレーキが十分に利かないと予想しました。
以上から、オーバーランの原因はスプリングをカットしたことにあるのではないかと推測した次第です。
3mmかさ上げしているとのことですが、さすがに3cm切られているとしたらほとんど差が無いはずですので……。
恐らく初速の調整も必要になってしまいますが、まずはスプリング交換を試してみてもらえればと思います。